移動ドについて。

ドレミファソラシドには2種類あります。固定ドと移動ドです。
耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾くなら、固定ドよりの移動ドの考え方が都合よいです。

固定ドは楽譜を読むのに便利

固定ドは、ドの音は必ずCの音だと、固定して決めてしまいます。
ドの音は必ずCの音だと決めてしまいますから、固定ドは楽譜を読むのに便利です。ピアノのように楽譜を見ながら演奏するのに都合がよい。小学校の音楽教育でも固定ドを教えてると記憶します。

しかしながら楽譜がない、楽譜を使わない、楽譜を読めない人にとっては関係ない話ですし、むしろ便利どころか奇妙でやっかいな問題を生じます。

12通りのチューリップ

例えばチューリップをドレミで歌えますか?

「ドレミドレミソミレドレミレ…」

そうですね、みんなそう歌いますよね。
しかし固定ドだと、チューリップをDキーで歌うと、以下のようになります。本当ですよ。だってドの音はあくまでもCですから。

「レミファ#レミファ#ラファ#ミレミファ#ミ…」

固定ドで、チューリップをドレミで歌うとCキーなら「ドレミドレミソミレドレミレ…」。Dキーなら「レミファ#レミファ#ラファ#ミレミファ#ミ…」。Eキーなら…と、西洋音階は12の音で出来てますから、計算上は12通りのチューリップのドレミが存在することになります…覚えるのが大変ですね!?

でも日常では誰もそんな言い方しません。
試しに友だちにチューリップをドレミで歌ってもらってみてください。みんな適当にいろんな高さの声で、それでも「ドレミドレミ…」と歌うでしょう。それが自然です。チューリップは「ドレミドレミ…」に決まってます!

みんないろんな高さの声で歌うけど、どれもドレミのチューリップに聞こえる。ならそれでいいじゃないか?どんな高さの音でも、ドレミファソラシドに聞こえるなら、ドレミファソラシドでいいじゃないか?

ドレミファソラシドに聞こえるならドレミファソラシド

どんな高さの音でもドレミファソラシドに聞こえるなら、ドレミファソラシドでいい。これが移動ドの考え方です。

移動ドでは、どんな音の高さでもドレミファソラシドに聞こえるなら、ドレミファソラシドと読みます。Dキーだからってチューリップをわざわざ「レミファ#レミファ#ラファ#ミレミファ#ミ…」なんて歌いません。あくまで「ドレミドレミソミレドレミレ…」を貫きます。(みなさん最初からそうしていますから、問題ありませんよね?)

だから当然「ドの音はCだ」なんて決まりません。Fをドの音にしたり、Gをドの音にしたりする。臨機応変です。

聞いて覚えた曲をカンテレで弾くのに便利

いろんな音をドにしてしまう、となると…移動ドの欠点は、楽譜を読みづらいってことしょう。楽譜を読むなら、Cをドの音だと決めつけてしまう固定ドがだんぜん便利です。まあでも?楽譜を読めない私たちには関係ないですし?一方で移動ドは、耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾くのに便利です。

11弦カンテレの音域は1オクターブ半です。
残念ながらどんな高さの曲でも自由に演奏できます!というわけにはいきません。この範囲になんとか収まるように、曲の高さを適切に移動しなければならない。

このやり方を他人に口で説明しようとすると…移動ドで説明することになります。

カンテレが弾けるのが一番、理屈は二番

カンテレに関連して移動ドの話が出てくるのは、耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾く方法を、他人に口で説明しようとすると…移動ドで説明することになるからですが。しかしここで忘れてはならないのは、一番重要なのは、

自力で、耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾ける

ってことです。

「うーんよく分からないけど既にできてる?」ってあなたは完全です。他の知識なんて――移動ドだ固定ドだなんて必要ありません。どうかそのまま、自然体でカンテレを弾いて楽しんでださい。

一方で、上手くできない人もいるでしょう。
自然にできないなら不自然にやるしかありません。お勉強するしかありません。耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾く方法をこちらに説明しました»http://kantele11.temiruya.com/archives/5000/

おわりに

耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾く方法を説明するために、移動ドとはどんなものか、説明しました。繰り返しますが重要なのは、自力で、耳で聞いて覚えた曲をカンテレで弾けるってことです。理屈はその次ですよ。

『移動ドについて』の話は以上で終わりです。