コードの押さえ方

コードというのは、日本語で言うと和音――ドミソとかソシレとか学校で習ったでしょう、あの和音のことです。「コード奏法でカンテレを弾く」というのはつまり、じゃらーんじゃらーんとコードを鳴らしながら、それを伴奏にしてメロディを弾く、ということです。

カンテレでコードを鳴らすときの考え方は、ハープやギターとは、まるっきり逆です。例えばドミソの和音を鳴らすとき、

ハープやギターでは
必要なドミソの音を鳴らす
カンテレでは
不要なレファラシの音を鳴らさないようにする

カンテレではドミソの和音を鳴らすとき、ドレミファソラシドのうち不要なレファラシの弦を左指で押さえて鳴らないようにして、右手でその付近の弦をまとめてじゃらーんとかき鳴らします。

カンテレで使える6つのコード

カンテレでは、ドレミファソラシドの音を組み合わせて、全部で6つのコードで伴奏することができます。カンテレで使える6つのコードは、それぞれⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵのように番号で呼びます。

  • Ⅰ…ドミソ
  • Ⅱ…レファラ
  • Ⅲ…ミソシ
  • Ⅳ…ファラド
  • Ⅴ…ソシレ
  • Ⅵ…ラドミ

そしてカンテレは曲に合わせて、4つのキーにチューニングして演奏するのでした。ですからそれぞれのキーに応じたコードの押さえ方が存在することになります。

といっても実際は1種類だけ覚えたら大抵の曲は伴奏できるのでご安心を。とりあえず4つのキーに応じたコードの押さえ方を以下に説明します。

Fキーの6つのコード

FキーはFの弦から順に弾いてドレミファソラシドでした。
6つのコードは以下のように押さえて鳴らします。

●の付いた弦を左指で押さえて、右手でその付近の弦をまとめてじゃーんと弾きます。本当は○の弦も押さえなければならないのですが……指の数が足りません。状況に応じて左手を平行移動するなどして対処します。

Fキーにおけるコードの押さえ方は、実はDキーのコードの押さえ方と同じです。高い音にずれているだけです。そして多くの曲がFキーとDキーで弾けますから、このコードの押さえ方さえマスターすれば、それだけでほとんどの曲を伴奏できるようになります。

Cキーの6つのコード

CキーはCの弦から順に弾いてドレミファソラシドでした。
6つのコードは以下のように押さえて鳴らします。

●の付いた弦を左指で押さえて、右手でその付近の弦をまとめてじゃーんと弾きます。本当は○の弦も押さえなければならないのですが……指の数が足りません。状況に応じて左手を平行移動するなどして対処します。

Gキーの6つのコード

GキーはGの弦から順に弾いてドレミファソラシドでした。
6つのコードは以下のように押さえて鳴らします。

●の付いた弦を左指で押さえて、右手でその付近の弦をまとめてじゃーんと弾きます。本当は○の弦も押さえなければならないのですが……指の数が足りません。状況に応じて左手を平行移動するなどして対処します。

Dキーの6つのコード !!!最初にこれだけをマスターしましょう!!!

Dキーはカンテレの標準的な音階といわれています。
DキーはDの弦から順に弾いてドレミファソラシドでした。
6つのコードは以下のように押さえて鳴らします。

Dキーの6つのコードⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ↓

●の付いた弦を左指で押さえて、右手でその付近の弦をまとめてじゃーんと弾きます。本当は○の弦も押さえなければならないのですが……指の数が足りません。状況に応じて左手を平行移動するなどして対処します。

Dキーにおけるコードの押さえ方は、実はFキーのコードの押さえ方と同じです。低い音にずれているだけです。そして多くの曲がFキーとDキーで弾けますから、このコードの押さえ方さえマスターすれば、それだけでほとんどの曲を伴奏できるようになります。
最初にこのコードの押さえ方だけをマスターしましょう。

コードを暗記しよう

カンテレのコードは努力と根性で暗記しましょう。
取りあえずDキー用の6つのコードの押さえ方だけ覚えたら、実質マスターしたことになります。Fキーの押さえ方もDキーと同様ですし、FキーとDキーでほとんどの曲を演奏できてしまいますから。
なに、たったの6つです。かけ算の九九よりずっと少ないです。

Dキーの6つのコードⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵ↓

奇数どうし、偶数どうしは似てる

多少覚えやすくするためのコツはあります。
例えば奇数Ⅰ,Ⅲ,Ⅴのコードはお互いによく似ています。
同様に偶数Ⅱ,Ⅳ,Ⅵのコードもお互いによく似ています。
ですから奇数と偶数でまとめて覚えると覚えやすいでしょう。

Ⅰ,Ⅴ,Ⅵをまず覚える

6つのコードの使用頻度はどれも同じではありません。
ⅠとⅥは圧倒的です。古い時代の曲だと「Ⅰ---…」のようにⅠだけで伴奏してしまう曲や、「Ⅵ---…」のようにⅥだけで伴奏してしまう曲があります。

続いてⅤも使用頻度が高いです。
古い時代の曲だと「Ⅰ---…ⅤⅠ」のようにⅠとⅤだけで伴奏してしまう曲や、「Ⅵ---…ⅤⅥ」のようにⅥとⅤだけで伴奏してしまう曲があります。(Ⅴはメロディが終わる直前によく出てきます。)
なのでⅠ,Ⅴ,Ⅵを最優先で覚えましょう。

実際の曲を弾いて指の動きを覚える

6つのコードをそれぞれしっかり覚えるのも大切ですが、実際に演奏するときはコード進行に伴う左指の動き――例えば「ⅠからⅤに変化するときは中指と薬指を動かす」「ⅤからⅥに変化するときは人差指を固定して残り全部を動かす」のように、指の動きを覚える方が上手くいきます。

それを踏まえて『カンテレで弾ける例題曲』に一覧している例題曲を練習するのはよい方法でしょう。ここでは左指の動きだけ――伴奏だけじゃんじゃん弾く練習をします。

何曲か練習すると(なんだかいつも同じような指の動きだなあ)というのが分かるでしょう。たった6つのコードだけで全ての曲を伴奏するのですから、そりゃいつも同じ感じになってしまうに決まってます。

11弦カンテレはギターやハープなど他の弦楽器と比べて、表現力は乏しいです。その分、扱いやすく初心者がマスターするのも簡単です。
トレードオフってやつです。

『コードの押さえ方』の話は以上で終わりです。