現代のカンテレには様々なタイプがあります。
大きく3つのタイプに分類できるでしょうか。
トラディショナル・カンテレ
伝統的な形状のカンテレです。
鋭い三角形が印象的です。サイズは小型で、弦の数は5本~10本ほど。
素朴で原始的な楽器ですが、フィンランドでは今でも現役で演奏されています。日本人の感覚だと弦の数がたった5本で何をするんだ?という感じですが。フィンランドの叙事詩『カレワラ』――日本の古事記のような物語を、この5弦カンテレで伴奏し歌います。
モダン・カンテレ(ウィング・カンテレ)
カンテレが20世紀のサブカルチャー音楽の代表楽器――ギターと融合して出来た新しい楽器です。
ストラップを取り付けることができて、肩から提げてギターのようにじゃんじゃん演奏します。ギターのように弾きやすいように、左腕を支えるためのアームレストが張り出していて、これをウィングと言います。
弦の数は10~20本ほど。11弦は若干音数が物足りないものの、扱いやすく勢いよく演奏できます。20弦あればほぼ何でも弾けますが、それだけ演奏は難しくなります。
瞬時にキーを切り替えることができるチューニングスイッチを搭載したモデルは、時間的に余裕のないステージで、さまざまなキーの曲に対応して演奏することができます。ピックアップを搭載したモデルはアンプ・スピーカに繋いでぎゅいんぎゅいん言わせます。
コンサート・カンテレ
カンテレが西欧のクラシック音楽の影響を受けて進化した楽器です。弦の数は20~30本以上。外観はまるで小さなピアノのようです。テーブルにどっしり据えて座って演奏します。
もの凄く音が長く伸びるため、耳障りな音を指で止めながらメロディを弾いていくという、独特の操作を要求されます。音が残響しすぎて困る、なんて弦楽器としては贅沢な悩みですね。
多くのコンサート・カンテレは、すべての音を一度に止めるための消音装置(写真左手側の欠けた蓋のような構造)を搭載しています。また、全てのオクターブの音を一度にがっちゃんと半音上下する大がかりなチューニングスイッチ(写真左手側に並んだ青い突起物)を搭載しています。
『カンテレについて』の話は以上で終わりです。